2017/02/08

怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道

怪魚ウモッカ格闘記―インドへの道 (集英社文庫)
高野 秀行
集英社
売り上げランキング: 91,126
kindle版
■高野秀行
日替わりセールで購入。
本書は「小説すばる」2006年8月~2007年5月に連載され、集英社文庫から2007年9月20日に発行されたものの電子書籍版。
本書も【カラー版】とうたってあるけどモノクロしか表示されないkindle paperwhiteでは意味なし。

怪魚ウモッカ格闘記』だからまた幻の生物を探しに行った探検の顛末が書いてあるんだろうなーと思って読んだのだけど、まさかこういう展開が書かれているとは……そう思ってあらためてタイトルを見ると『インドへの道』ってちゃんと書いてあるんだよな。うーむ、成程…。

まあ、前半の濃密な計画の立て方や調査の下準備がかなり細かく書かれていてそこだけでも価値があるし、ある意味高野さんにしか書けない本で、面白かったけどね。

現地での探検、冒険にしか興味が無いという方には「がっがりするかも?」な内容なので、本書はおすすめしません。


以下、内容に触れます。
★★★白紙で読みたい方はスルーしてください。★★★

高野さんの他の著作でも出てくるのでこのひとが探検に行くときに取る手段が正規・正当・合法ルートばかりじゃないことは知っていた。インド入国出来んとか姓を変えるために奥さんと離婚して奥さんと再婚したらどうかというくだりも以前どっかで読んだ記憶があった(この本二回目じゃないよなあ…どこで読んだんだっけなあ…。あと腰痛の件、本書の空港のところで解決してるけど『腰痛探検家』のほうが文庫は後で出てるんだけど…)
まあでもインドだし、犯罪を犯したわけでもないからなんとかなるレベルの問題なんだろうとたかをくくっていた。
だから本書の中盤からの展開にびっくり。
えーまさか、「ウモッカ探しにインドに行くぜ!」と煽っておいて「インドに行ったら空港で足止めされて入国許可下りなかったぜ!」という展開になろうとは…。
いやそういうこともあろう。だがもっとびっくりなのはその展開がわかっていて、それでこういうタイトルで本にしちゃうとは…(2005年の暮れにインドに行って入国拒否されて帰国し、連載は2006年に開始している)。

詐欺、までは云わないけど、うーん、看板に偽り……っていうほどでも無いんだけど、なんていうか「そうくるか!」って感じ。まあ高野さんらしいけどね。ガチな感じでこれはこれで面白いし高野さんにしか書けないな~って思うけどね。

前半読んでるときに、「やけに丁寧に下準備期間を長く書くんだな」「さては実際探しに行ったら竜頭蛇尾であんまりパッとしない結果に終わっちゃったのかな」と危ぶんでいたんだけど、はははっ。

でも、大使館でビザを発行したのに空港のコンピュータで「入国不可」だったとか、そんなことあるんだねー。大使館どんな情報で仕事してんの? って感じ。
しかもその後の顛末でインド人は大使が入れ替わるときとかに引継をしない、そもそも個人主義のインド人は引継を嫌ってしないことが多いとか書いてあって驚いてしまった。それじゃあなおさら、データとかきっちり作り込んでおかないとねえ…他にもいろいろ問題が出てきそうな体制だなあ。

それにしても「入国不可」となったら普通は帰国してもう一回大使館に掛け合うとか人脈をたどってどうにか、という方法を考えるしかないと思うんだけど、同時に瞬時に非合法ルートで陸路からパソコンの無い国境から入国出来ないかとも考える高野さんはやっぱりかなり特殊なひと、のような気がする。それとも高野さんのほうが一般的なんだろうか。とりあえずわたしが高野さんの本は面白いけど全部読みたいとかまで至らない理由のひとつはこんなところにある、ということを再確認したのであった。