2016/03/30

天国はまだ遠く

天国はまだ遠く (新潮文庫)
瀬尾 まいこ
新潮社
売り上げランキング: 30,041
kindle版
■瀬尾まいこ
図書館のキリギリス』に出てきた本で未読でkindleで購入出来る作品で瀬尾まいこだったので購入。
たぶん題名に「天国」とかついてるから「そーゆーはなしはいーかなー」とスルーしてきたんだったと思う。でも『図書館の』で「主人公が山間の素敵な町に行く話」とか書いてあったので興味がわき、読んでみようかなと。

なかなか良い話だった。
生保で営業として勤めていたけれども契約が全然取れず、会社で上司からぐちぐち叱責を受け続け、人間関係も上手くいかず、なにもかもが上手くいかず(と思い詰めて)、ついに自殺してしまおうと日本海側のある町を目指した千鶴(年齢は二十代前半かなあ)。
一泊だけのつもりで山間の集落にある、ほとんど営業されていない民宿に泊めてもらうが……。

実際に田舎に住んだらこんなに放置されているってことは有り得ないと思うけど、まあ、彼女は民宿の客だからかなあ、でもきっと村中の人間が情報を共有していたとは思うけどね。特に、一人暮らしの若い男性の経営する民宿に若いワケ有りっぽい女性が泊まってるんだもの。

新潮社から2004年に単行本が出た本で、「文庫版あとがき」には
数年前、突然丹後地方の中学校での勤務が決まりました。(中略)丹後での生活があって、この本が出来上がりました。
と書いてある。そうそう、瀬尾さんは2011年に退職するまでは中学校の国語の先生だったんだよね。
つまりこの小説に出てくる集落の様子、夜に星がすごくたくさん見えるとかはかなり実体験を基に書かれているっぽい。

2008年に映画化。
主人公の千鶴は加藤ローサさん、民宿の30歳の主人・田村はチュートリアルの徳井さんが演じられたと…うーん全然そういうイメージで読んでなかったなあ。徳井さんだとハンサム過ぎるような気がしないでもない。本文ではむさくるしい、髯も滅多に剃らない、髪の毛とかも寝癖のままみたいなキャラだったので。洋服はいつもトレーナーとスウェット、夜でも朝でも裸足、何をするにも大雑把とか書いてあっておよそ若い女性が簡単に恋に落ちるような設定ではない。人柄はとても良いので、中身を知ったら好きになるとかあると思うけど。
というか、千鶴は田村さんに惚れてここにずっと住むことになるのかな? と考えながらずっと読んでいた。最後実際にどうなったかは、伏せて置きたい。
なんにせよ、前向きなラストで良かった。死ななくて良かったね、千鶴。

2016/03/29

図書室のキリギリス

図書室のキリギリス (双葉文庫)
竹内 真
双葉社 (2015-09-10)
売り上げランキング: 90,723
kindle版
■竹内真
初めて読む作家さん。アマゾンのオススメで上がってきて、「まぁ図書館とか本屋が舞台になっている話はそれだけで興味あるし、」とまずは最初のほうを無料試し読み。可もなく不可もなくといったところで、どうしようかと迷ったが他に読むものもないし続きを読んでみた。そしたら何の期待もしていなかったのが良かったのか、どんどん面白くなってぐいぐい引き込まれてあっという間に読了。
具体的に実在する作家さんとか本やその内容について「本が好き!」という愛があふれた会話を登場人物たちが嬉しそうにするのがなんとも楽しくてうらやましいんだよなあ。ああ、リアルでここまで本ラブ!な会話が弾む環境なんてどれだけ貴重なことだろう。

主人公、高良詩織は最近離婚したばかりで職探しをしている三十代前半の女性。
教職も取ってないし司書の資格も持っていなかったが、それでも大丈夫だという県立高校で音楽教師をやっている友人からすすめられて「学校司書」の面接を受けにいく。このお話を読んで初めて知ったが司書教諭の資格を持った人がいて、でも実務的には別途「学校司書」っていうのを安く(資格は要らないかわりに)雇ってるっていうのがあるらしい。身分的には「臨時雇いの公務員」扱い。中身をもっと詳しく読んでいくと、「司書」っていうよりは「学校事務員」として雇用されて、図書室以外の事務仕事も頼まれたりするみたいだ。ふーん。

司書資格持ってても図書館の仕事ってそんなにないから誰でもなれるわけじゃないのに……ってちょっと思っちゃって(現にわたしも司書資格は持っているけど司書で働いたことは無くて、本にはなんの関係もない会社勤めをしている)、自分のことをアリとキリギリスのキリギリスに例えたりする主人公に軽く反感を覚えたりも最初の頃はしたんだけど、読み進むうちにこのひとの人柄が伝わってきて(全然キリギリスじゃないじゃないか)、好意に変わった。なにより、いろんな本をたくさん読んでいて、読んだ本(の内容)を大切にしているのが良い。詩織さんにすすめられたら読みたくなるな、って気がする。

また、登場する高校生たちがとっても素直で良い子たちで、本を読む子が多くてにこにこしてしまう。現実はそんなじゃないよーって言われるかもだけど。自主的にいろんなことをどんどん進めて行ったりほんと頼もしい。頭のよい子たちだなあ~、わたしが高校生の時こんなにしっかりしてなかったよ!って尊敬しちゃう。

わたしは本が好きだけど所有欲も強くて「借りて読む」と云うのがあんまり好きじゃないので中学校、高校は図書室にはほぼ行っていない。小学校の時はまだ自分で本を買えなかったから図書室も学級文庫もおおいに利用させてもらったし、大学図書館は雰囲気が気に入ったのと調べものをしたりなんだりで足繁く通ったものだが。
でもこの本を読んでいると図書室って本を借りるだけの場所じゃないんだなあ。こうやって、本を通じて友達と語り合ったりすることができる図書室だったら通って見たかったなあ。
司書の資格を取るときにその仕事内容は習ったけど、レファレンスとかがメインでこの本に出てくる「ブックトーク」「ブックマーカー」「ブックテーブル」なんてのは教わらなかった。時代が古かったというのもあるかもしれない。言い方が違うだけで、似たような感じのは、例えば「ブックテーブル」は昔「読書会」って言ってたのと同じじゃないのかな、って思うんだけど。どれも楽しそうだけど自分が高校生の時にこんなに人前で本やその感想を積極的に話し合えたかどうかは……どうなんだろうなあ(苦笑)。登場人物たちの発表の完成度高すぎじゃないデスか?

素直でまっすぐで吸収して成長していく生徒たちを毎日みている詩織もまた(その影響もあり)、自分の生き方について思いを固めていく。
前任者のちょっとお姉さんのひとの人生の舵のとりかたを知ったこともあったと思う。この前任者のひとの生き方もざっくり語られただけでもかなり興味深く、彼女が主人公の物語もまた別に読んでみたいくらいなのだが(以前のも良いし、これからの古本屋生活も絶対面白いはず)。
最後の方の展開で、詩織が選ぶ決断がちょっと意外だった。えー。どうして両方出来る方向を選ばなかったのかなあ。片っ方だけしか出来ないわけじゃないと思うんだけどなあ。でももう決めちゃってたんだね…。

ちなみに本書に出てくる具体的な作品をkindleで検索してみたけどほとんどは無かった。紙媒体だとけっこうあるが古本じゃなきゃだめなのもあったし、何年も前に出た本なのにいまだに単行本だけで文庫化していないのもあった。どんな本が取り上げられているのかをここで羅列してもあんまり意味がない。物語の中でどういうキャラにどういう思いで語られているか、そこを読むことでぐっと興味がわくような紹介をされているのだから、是非『図書館のキリギリス』を読んでのお楽しみということにしていただきたい。巻末に作品に登場した本のブックトーク風コラムも収録されているし。

著者のあとがきに自宅の暖炉から外から入ったらしいフクロウが云々のエピソードがあり、いったいどちらにお住まいなのかググってみたがよくわからなかった。東京じゃあ、フクロウいないよね…いや東京でも23区外だったら有りなのか…???
そんなこんなで著者のブログ(サイキンのタケウチ出張所)に行ってみたら以下のような嬉しいお知らせが。

おかげさまで去年の秋に文庫が出て結構売れた『図書室のキリギリス』の続編を書くことが決まりました。1冊目で学校司書になった高良詩織が、2年目も仕事を続けられるのか……ってな話を書こうと思ってます。 ぼちぼち準備を始めてるとこなんで、「こういう話を書いてほしい」とか「こういう本を取り上げてほしい」とか「学校司書のこういう面に言及してほしい」とかのご意見があったらお寄せください。

学校司書のリアルな細かいところを知りたいんだけどなかなかみんな喋ってくんないんだそうだ。書いた文章について「違うよ」とは云っても「どう違うのか」は教えてくれないんだって、えーそうなのー?なんでー? 文句だけ云って教えないってどうなのかなあ~。いろいろ職業上の守秘義務とかに引っかかるからだろうけど。うーん。

なにはともれ、すごく面白いお話だったので続篇嬉しい! この話が読めて幸せだった! この本に出てきた作品もいくつか読んでみたい(んだけど先刻上記したような状態だからどうしようかちと迷う。いまさら2009年刊行のモーフィー時計の単行本買うのか~? え~文庫化しないの~? と思って発行元確認したら国書刊行会だった……アカン……文庫無いわ……どっかよその出版社でしてくれんかなー…)。

2016/03/26

通い猫アルフィーの奇跡

通い猫アルフィーの奇跡 (ハーパーBOOKS)
ハーパーコリンズ・ジャパン (2015-10-01)
売り上げランキング: 133
kindle版
■レイチェル・ウェルズ 翻訳:中西和美
表紙帯には「ハーパーBOOKS創刊!」と書いてあって、発行日は2015年9月25日、発行元はハーパーコリンズ・ジャパンと書いてある。どういう会社だろうかと読み終わってからググったらハーレクインもここのレーベルなんだね。ふーん。

Amazonの月替わりセールにあってレビュー評判もなかなか良いので読んでみた。猫が主観の、猫の気持ちなどをいきいきと書いてある楽しいお話。ハートフル系。
飼い主が亡くなって野良猫になってしまったアルフィーは次の飼い主を自力で探すんだけど、そのときに今回の苦難を教訓としてひとつの指針を立てる。それは、1人の飼い主だけに頼り切っているのはリスクがあるから、複数の飼い主を持とう、というものだ。それぞれの家を行き来する「通い猫」スタイルが安全だと。

野良猫時代の苦労、飼い主を得るまでの工夫、飼い主を増やしていく過程、複数の家でそれぞれの飼い主に気を配り愛される猫であろうとする。複数の家でそれぞれいい顔をして空いた時間に素早く他の家に行って…というのを読んでいるとどうしても人間の、配偶者と愛人の間を行き来する感じを連想してしまってちょっとそれはどーなのかなーと思わないでもないんだけどまあこれは「猫」の話だから。でも飼い主としても自分の家でもよその家でも良い顔をしてるって知るのはあんまりいい気持ちはしないんじゃないかなあどうなんだろう、とか考えつつ読んだ。

アルフィーが他の猫の助言などを受けて目指してたどり着いた通りはまあまあの経済状態のひとが住む地区っぽい、高級まではいかないけど生活に余裕があるひとが住む地区。アルフィーによればずっとそこに住んでいるひとではなくて引っ越してきたばかりの家のほうがこれから猫を新たに飼うということをしてもらいやすいんだと、うーん、引越し前の家から連れてきたりすると思うのでそれはどうなのかなあ?

アルフィーが飼い主に選んだひとは偶然なのか、それぞれ寂しかったり、心が弱っているひとばかりだった。最初は猫を受け付けなくても、毎日通っていくうちに猫がいるそのことに癒されて心を開いていく。

猫が好きなひとには読んでいるだけで愉しい小説だと思う。わたしのように飼っていなくても楽しめるのだから、飼っておられる方はもっとだろう。
個人的な趣味で云うとわたしは小さい子どもが出てきてその言動が詳しく書いてある話を読むのが好きなのだが、この小説にも幼児や乳児などが出てくるんだけどあんまりその言動が書き込まれていなくて、アルフィーと遊んだりするシーンもちょっと物足りなかった。まあ猫の目線からすればご飯をくれる大人とか直接の飼い主のほうにより注意をはらうから、っていうのとさっきも書いたようにそれぞれの大人が悩みを抱えているからそのケアをしたいという思いがまずあるから、仕方ないんだけど。

話のスジはありきたりなのかも知れないけど、こういうのはハッピーエンドじゃなきゃイヤだし、ハッピーエンドで本当に良かった。最後みんながアルフィーのしてきたことを知っても怒ったりしなかったのでほっとした。
でも自分がもし猫を飼うとしたら、「ウチだけの猫」であって欲しい、と思っちゃうのは「人間側の身勝手な独占欲」なのかなあ?

2016/03/23

津軽百年食堂

津軽百年食堂 (小学館文庫)
森沢 明夫
小学館
売り上げランキング: 56,490
kindle版
■森沢明夫
「食堂」つながりで2009年2月刊の単行本の表紙をみたときから「めっちゃきれいな表紙やなあ~」「タイトルもなんかノスタルジックでいいなあ~」「でも知らん作家さんやしな~」と気になっていた本作品も読んでみた。
2011年1月小学館文庫化、の電子書籍版。トータルkindle版で3402だからこれも比較的短めの長篇。

読んでみての感想だが、「思っていた話とはだいぶ違った」。
「津軽百年食堂」だからもっと「津軽」の風土とか土地柄とかが濃くて、「百年」地元で根付いているならではの津軽の町の中の人との田舎ならではの濃厚な人間関係、そこでの「ひととひとの絆」みたいなのが書かれている話かなと想像していたのだけど、違った。

まず東京でのシーンがけっこう多い。
百年ということで、明治生まれの【大森賢治】が主観のストーリー。このひとが蕎麦屋の一代目。若い時の奥さんとの出会いなど。
その孫【大森哲夫】(64歳。現役食堂店主)が主観はプロローグのみ。哲夫の母親は【フキ】。父親は【先代】ということで既に故人。どうしようもないほど遊蕩をつくした人だったと回想で書かれている程度。
哲夫の息子の【大森陽一】(28歳。東京でなんのかんのあった末にピエロをやって生計を立てている。)主観のストーリー。【桃子】という姉がいる。
陽一との出会いがあって描かれる【筒井七海】(25歳。津軽出身、東京在住、カメラマンの卵)が主観のストーリー。
これらが交互にに描かれる。
陽一の幼馴染み【藤川美月】主観の節がひとつ。
賢治の妻【大森トヨ】主観の節がひとつ。
ラストのエピローグは哲夫の妻であり陽一の母である【大森明子】視点で締められる。

何故、時代の厚みがあまり感じられず、東京の話が多いなと感じてしまったのか、単純に若い陽一世代の話が一番興味をもって読めたというのもあるだろう。なんせ、賢治・哲夫の時代はその子どもが生まれて東京で社会人やるまでになってるんだからというのがあらかじめわかっているのでいろんなことが「予定調和」になってしまって「決まっていることをなぞって読んでいる感」がどうしてもしてしまったからだ。

でもそれだけじゃない。具体的に目次を写してみた。この本は、節名がその主観者の名前になっている。

プロローグ 【大森哲夫】
第一章 【大森賢治】【大森陽一】【大森賢治】【大森陽一】【大森賢治】【大森陽一】【大森賢治】【筒井七海】【大森陽一】【筒井七海】【大森陽一】
第二章 【大森陽一】【筒井七海】【大森陽一】【筒井七海】【大森陽一】【筒井七海】
第三章 【大森陽一】【筒井七海】【大森陽一】【筒井七海】【大森陽一】
第四章 【大森陽一】【藤川美月】【大森陽一】
第五章 【大森トヨ】
エピローグ 【大森明子】

おお、一目瞭然。
書かれている数を見てみたら「感覚」だけじゃなくて実際に量が違うのだった。
東京世代が主観の部分(黄色で塗った部分)が漠然と感じていたよりずっと多くてびっくり。そりゃ~「津軽の話」「古い人間付き合い」をあんまり感じないわけだわ。
つまりこの小説は、津軽出身の28歳の若者・陽一が、東京に出てきたけどいろいろ挫折して、東京で故郷出身の七海ちゃんと恋に落ちて、いろいろあるけど父親がやっている蕎麦屋(食堂)を大事に思い続けているから、最終的には継ぎたいんだという意志を固めるまでを書いてある話だったんだね。
表紙の雰囲気とタイトルにだまされちゃったなあ。

2016/03/22

東京すみっこごはん

東京すみっこごはん (光文社文庫)
成田 名璃子
光文社 (2015-08-06)
売り上げランキング: 18,649
kindle版
■成田名璃子
amazonのオススメで上がってきてレビューの評価が高かったので読んでみた。
2015年8月光文社文庫からの電子書籍。
すべて同じ店をめぐるハートフル短篇集。

知らない作家さんだったが既刊リストを見るとメディアワークス文庫(ラノベのお姉さんレーベル)の作品が多いということで、あんまり深く踏み込んではいないんだろうなと予想をつけて読んだ。だから題材にいじめや未婚アラフォー女性や親との確執などを扱っているがあまり深追いせず「逃げ」や「ドリーム」を用意して根本的な解決までは追究していないのは織り込み済みだ。

それにしても実に面白い魅力的な舞台を設定してくれたものだ!
この設定だけでご飯5杯はイケると云っても過言ではナイ。

東京のとある駅前の長い商店街を横道にそれた細い路地の奥。古い木造の家が続くそこを進むとある一軒の家がある。一見普通の民家だけどよく見ると看板が出ている。その名も「共同台所 すみっこごはん」。看板には「※素人がつくるので、まずい時もあります。」と但し書きがある。

すみっこごはんのルールは【ここは、みんなで集まり、当番に選ばれた誰かの手作りごはんを食べる場所です。】から始まる。【レシピノート】という手書きのレシピ帳面があり、【なるべきレシピ通りにつくる】ことがルールのひとつ、というのが変わっている。
なんで当番各々の家庭の味じゃダメなのかな? と思った。読み進んでも、特段このレシピが魔法のように変わっていて特別な美味しさを生むというわけではなく、ごく常識的な、忙しい時にはレンジでチンなどして時短もありというすごく実用的なレシピであるとわかってきてからなおさら。作り手の工夫とかで付け加えて行ったり変更したりしちゃいけないのかなあと思ったのである。
最後まで読むといちおう納得いく理由が書かれていた。ふーん。

「アラ還おやじ」の話は特にそう思ったし全体的なことでもちょっと設定に無理があるのでは、とか思わないでもなかったが、そのへんはまあ、ドリームである、小説である、心ほんわかさせてもらったら良しとしようこういうタイプの作品は。
面白くて読みやすいし、家庭的な定番メニューが美味しそうでさくさく読めちゃう。総ページ3466と短めだし。
この本を読むとハンバーグが作りたくなる。
「今更」と思っていた肉じゃがが「やっぱり肉じゃが良いかも」って思っちゃって今晩の夕食は肉じゃがにしちゃったよ。お味噌汁も丁寧に作りたくなるね、出汁ちゃんとして。
ナポリタンも週末のお昼に作ろう、マヨネーズは試してみたいな。

目次。
いい味出してる女の子
婚活ハンバーグ
団欒の肉じゃが
アラ還おやじのパスタ
楓のレシピノート

2016/03/17

あなたの話はなぜ「通じない」のか

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)
山田 ズーニー
筑摩書房
売り上げランキング: 596
kindle版
■山田ズーニー
前からアマゾンで見掛けて「面白いタイトルだな」と気になっていたけどこういうジャンルは基本的によほどでないと読まないのでスルーしていた。
最近人間関係でどっと疲れるモンダイが発生しそれがいちおう一段落したところで精神的に弱っていたこともあり、3月15日の「日替わりセール」で¥199になっていたので「人間関係スキルを上げとくべきか」と購入(通常kindle版では¥486)。

このタイトルはだいぶキャッチ―にしてあるんだろうなと思っていたけどでもまあ実際社会に出たらいろんな人間がいるから自分の意志をそのままみんなが受け止めてくれるかっていうとそうではないよね、というのがあって、だからこういうタイトルの本が売れているわけで。問題が起こった時に「相手が理解してくれないからだ」と捉えたくなるっていうのは心情的にあるけどそれじゃ前に進めないから「自分の話が通じてないのかも(こっちでなんとかしてみよう)」っていう視点は大事かもね。

本書を読んでいてすべてそのまま役に立つ、というわけではないんだけど、根本的な姿勢というか、対人スキルを上げるヒントみたいなものはたくさん散りばめられていた。ふだんこういう本は読まないので新鮮だった。あと、自分とまったくおんなじ誤解を著者がされたときの経験談が書かれている部分があって、びっくりするのと同時にこういうことはよくあることなんだ、気を付けねば、とも思った。勿論いろんな状況が違うのでズーニーさんのやりかたをわたしがやるわけにはいかないが、自分なりに考えて対処した方法が根本的なところで間違っていなかったということを裏付けしてもらえたように感じてちょっと意を強くした。

「考える」、「いい『問い』を見つけていく」という訓練がいかに大事か。そうそう、「答える」よりも「問題を作る」ほうが難しいもんな。100の質問ブームの時に自分でも作ってみようかと一瞬考えて具体的にちょっとやってみただけで「わーこれって質問者のレベルが速攻バレる! 恐ろしい!」と気付いたもんな。

途中まで山田ズーニーというひとは男性と思って読んでいたんだけど第3章で
男社会の中に、女の人が正論を振りかざして挑んでいこうとすると、それがいかに正しいことであっても、なかなかうまくことが運ばない。
とか書いてあってあれ、このひともしかして女性? と思った。

本書にはプロフィールの類がのっていなかったのでちょっと不親切な気がしたけどでもまあ偏見というか先入観なしに読まれた方がいいもんな、こういう本は。

目次は全部は写さない。
実用書のタイトルって要旨みたいな性質があるなあ。もちろん目次だけ読んでも本文を読まなくちゃ理解は出来ないけど。
章タイトルがあって、節タイトルがあって、さらに小さい見出しがいくつもある。あ~評論ってこういう作りだったなあとなんか国語の授業で習ったのを懐かしく思い出したり。
とりあえず節タイトルまでは写しました。それぞれにたくさんある小さい見出しは膨大になるのでめんどくさいので省略!

プロローグ 想いが通じる5つの基礎
第1章 コミュニケーションのゴールとは?
1.通じ合えない痛み
2.自分のメディア力を高める
3.信頼の絆をつくる
第2章 人を「説得」する技術
1.論理で通じ合う大原則とは?
2.考える方法を習ったことがありますか?
3.いい「問い」をどうやって見つけるか
4.どうやって「問い」の視野を広げるか
5.筋道立てて話し・聞き・人とつながる技術
6.説得の筋道をつくる
第3章 正論を言うとなぜ孤立するのか?
1.関係の中で変わる意味
2.正論はなぜ人を動かさないのか?
3.等身大のメディア力をまとうために
第4章 共感の方法
1.情報は配列が命
2.共感を入り口にする
3.何を言うかより、どんな目線で言うか
第5章 信頼の条件
1.言葉が通じなくなるとき
2.はじめての人に自分をどう説明するか?
3.信頼される自己証明の条件
4.短いやりとりで、なぜあの人は信頼されるのか?
5.信頼の危機にどう対処するか?
エピローグ 通じ合う歓び
自由を勝ち取るための戦いの記録――文庫版のためのあとがき

2016/03/15

知の教室 教養は最強の武器である

知の教室 教養は最強の武器である (文春文庫)
佐藤 優
文藝春秋 (2015-08-04)
売り上げランキング: 8,232
kindle版
■佐藤優
米原万里さんの著作を読んでいたらこのひとの名前が出てきて。スズキムネオ事件のときになんか逮捕されてたひとだけど他のいろんな書籍でもちょくちょく名前が登場してテレビとかでもコメントしてるっぽくて知識人というのか文化人というのかどういう枠か知らないけど政治とか国際情勢に詳しいひとみたいな扱いになってる? いったいどういうひと???
と思っていたので3月13日のkindleの日替わりセールに本書が上がっていたのでふだんこういうジャンルの本は読まないんだけど購入してみた。

目次をざっと見て、興味があるところを読んで、あとはざーっと流し読みしながら興味がありそうなところは留まってゆっくり読んだ。結果、自分に興味があって、読んで面白いと思えた部分は本当に部分的で、全体としてはこちらがあまりにも無知すぎて勉強不足で消化できなかった。なにより、当初の目的だった「この人何者? どういうこと考えてるひと?」っていうのがほぼ理解出来なかった。勿論プロフィールとか簡単な生い立ち?みたいなのは書いてあったけど。己の知識にすんごい投資してるひと、キリスト教を信じてるひとだってのはわかったけど(これは意外だったな)。

また、このひとが村上春樹好きであることはわかったが、残念ながら取り上げられていた作品について未読であるため、内容を読めなかった。村上春樹好きということである種の判断は出来るけど。
特に興味を持って読んだのは、第2講座の池上彰さんとの対談、第6講座の前半(ホリエモンとの対談は具体的でわかりやすかったなあ)、第7講座の玄侑宗久との対談、伊藤潤二との対談(ホラー漫画家だそうだ。怖がりなのでわたしは読めないけど。佐藤優って漫画も読むんだとびっくり)、第8講座前半、第9講座、第10講座もまあまあだったかな(テーマ的に昨今のニュースで気になる国を扱っていたので)。

いちおうこれって学生とかビジネスマンに向けての「実用書」的な本なんだと思うけど、わたしの生活レベルではほぼ「非実用書」だった。すみません。なんだか読んでてこの本が目指しているところ、声高に言ってるテーマが、あんまりおおっぴらにこういうこと言わない内容で、みんな心の中で目標とするような内容だから、読んでてなんとも言えない気持ちになったというか。
生きてる世界が違うのね。
生きてるステージが違うのね。
それにしてもこの本においてすらも(少しだけだけど)又吉さんの『火花』を例に挙げている箇所があったので、びっくりした。わかりやすいし旬だからかな。何年か前に小林多喜二『蟹工船』がブームになったけど、葉山嘉樹が同じテーマで先に書いてるとかいうのがあって、わたしの場合は昔ゼミで読んだのだけど、本当に各方面に詳しいんだなと感心した。

目次。
まえがき
第1講座 佐藤優の知的技術のヒント
佐藤優の〝脳力"/佐藤優の本棚
第2講座 情報を拾う、情報を使う
僕たちの情報収集術 池上彰×佐藤優
情報戦を制する世界の常識 西木正明×佐藤優
第3講座 知をビジネスに取り込む
凡人が生き抜く話術7カ条/困難な時こそ読む「聖書」の言葉10/リーダーシップの要諦は『太平記』にあり/世界史のリーダーたち 山内昌之×佐藤優
第4講座 知の幹を作る最低限の読書
日本の古典に立ち返れ
ビジネスマンが読むべき30冊 斎藤美奈子×米光一成×佐藤優
宗教を知り、自分を知る
魂を揺さぶる現代日本文学の収穫
第5講座 武器としての教養を蓄える
教養は最強の武器である
ファシズムから何を学べるか――『ムッソリーニ』を読む
独学者ヒトラーの罠/「心の書」を持つということ/21世紀最大の発見「ユダの福音書」
第6講座 佐藤優式・闘い方を学ぶ
私の駆け出し時代 欧亜局ソヴィエト連邦課
検察との闘い方、教えます 堀江貴文×佐藤優
知は生きる手段である
時流にこびない反逆者たち 鹿島茂×佐藤優
世界を相手に闘う方法 藤原正彦×水木楊×佐藤優
第7講座 対話のテクニックを磨く
福島と沖縄から「日本」を考える 玄侑宗久×佐藤優
ホラーマンガから現代を読み解く 伊藤潤二×佐藤優
ローマ滅亡に学ぶ国家の資格 塩野七生×池内恵×佐藤優
第8講座 分析力を鍛える――国際情勢篇
日中文明の衝突 どうすれば勝てるのか 中西輝政×春名幹男×宮家邦彦×佐藤優
対中外交はなぜ失敗するのか 山内昌之×井上寿一×宮家邦彦×川村雄介×田久保忠衛×佐藤優
第9講座 分析力ケーススタディ――ロシア読解篇
ソ連の激動とロシア正教会/ソ連の解体とロシア正教会/ユーラシア主義の台頭/理屈より、本音で生きるロシア人/死神プーチンの仮面を剥げ/最強の独裁者プーチンの凄腕
第10講座 佐藤優の実戦ライブゼミ
第一部:ロシア情勢と「イスラム国」
第二部:来場者の質問に答える
佐藤優「知の年表」
あとがき
登場者紹介
初出一覧

『プロローグ』刊行記念対談 円城塔×大森望「文学とSFの狭間で」

kindle版
■円城塔・大森望
kindleの企画本。
2015年12月17日に代官山蔦屋書店で行われた「『プロローグ』刊行記念 大森望のSF漫談 vol.3」の内容を構成したもの。
kindle版の総ページ表記で468だから短い。
でもなかなか面白かった。というかやっぱ円城塔の小説は難解で、エッセイはわかりやすくて面白いので、対談だったらわかりやすいかなと思ったら雑談の部分はわかりやすいが、小説について語り出すと「に、日本語でおk…」状態になることが判明した(こちらが莫迦なだけなんだが)。

でもでも、プロットをグラフで渡すとか工作して渡すとかって何!?(417より)

 大森 まったく説明になっていない(笑)。円城さんは、新作の打ち合わせでも、プロットをグラフで渡すとか、工作して渡すとかするから、編集者に「わからない」と嘆かれてましたね。
 円城 最近は工作で渡すのはやめました。プロットを聞かれもしなくなったので(笑)。プロットは自分の心の中にしかありません。

目次を写す。

パフォーマンスアーティストとしての円城塔
文学は不思議な商売
『プロローグ』の紀行文的側面
理系と文系の本質的な溝
フィクションとリアルは何が違うのか
人間は信用できない

最後の「人間は信用できない」というのは倫理がどーとかじゃなくて、間違いを見逃してしまうと。機械に頼れるところは頼らないとだめだと。まあそれはそうですわね。

この対談記事を読んで、出版社は違うけど『プロローグ』『エピローグ』は同じ話をひとつは純文学で、もうひとつはSFで書いたとか書いてあって興味は持ったけど、でもところどころ引用してある部分が既に難しいので二の足を踏んでしまう。っていうか、対になってるのに全然装丁とか違うんだね。そのへんについてもこの対談で触れられていたけど。あえて、別々にしてあるらしい。

円城さんの発言から引くと、
【私小説っぽい『プロローグ』は「文學界」で、同じ話をSFで表現した『エピローグ』は「SFマガジン」で連載していて。】
【セット感はなくていいだろう、と。】
【『プロローグ』は期せずして、『エピローグ』のメイキングになっている。】

あと、やっぱり出版界では大きな出来事だったのか、円城さんの対談なのに又吉さんの『火花』について話をしている部分もあったのでびっくりした。
『プロローグ』の書影が何故か上がってないんだよね…。

プロローグ
プロローグ
posted with amazlet at 16.03.15
円城 塔
文藝春秋
売り上げランキング: 26,079

エピローグ
エピローグ
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円城 塔
早川書房
売り上げランキング: 92,944

2016/03/12

にょにょにょっ記

にょにょにょっ記
にょにょにょっ記
posted with amazlet at 16.03.12
穂村 弘 フジモト マサル
文藝春秋
売り上げランキング: 284,589
■穂村弘
2015年9月刊。
これは紙の本、単行本で購入した。
シリーズ第1作『にょっ記』第2作『にょにょっ記』は紙の本の文庫で購入したので普通でいけばこれも文庫化するまで待つはずだった。でもこの表紙とか紙の感じとか要するに装丁(名久井直子)がとっても良いなとは本屋さんで現物をみたときから思っていた。第3弾の表紙は抜群に可愛いと。そうこうするうちにいきなりフジモトマサルさんが亡くなってしまって、びっくりした。「だから」というのも変なんだけど、手元に置きたくなったのだった。1月に購入して、しばらく置いてあった。

初出は「別冊文藝春秋」283号~317号。の連載に加筆修正したものだそう。
奥付の手前にこの記述があるんだけど発行年月を書いてくれていない。ホームページでバックナンバーの目次は記載されているのに発行年月が書いていない(283号の方は。317号のほうは表紙画像があった)。ググっってある図書館の目録でやっと確認できた。ちょっと不親切なような気が。
というわけで調べた結果283号:2009年9月号~317号:2015年6月号らしい。
6年間分? と思って他でも調べたけど合ってるなあ。ってことは1回の連載分が随分短いんだな。

日記形式だけど、どこまで実際でどこからがフィクションなのか、それとも全部創作なのかよくわからないふわふわしたこのシリーズ。
別に大きな出来事とかドラマチックさはないんだけど、ほのぼのしていてユーモラスでのほほんほむほむワールドが味わえる。
このシリーズでは「天使」が時々登場して、それは奥さんのことだと思って読んでいたんだけど本書では別に「妻」も何度か出てくるのでちょっと戸惑った。うーん。まあ役割的に一緒のひとだと思うんだけど…。

エリック・カールの絵本『はらぺこあおむし』が中国版だと『非常飢餓的毛毛蟲』になるっていうの、面白かったな。
男子高校生の無邪気なメールについての会話(「試合結果わかったらメールするよ」「メールしたら殺す。録画してるんだから」「うきゃきゃきゃ。メールするよ」「したら殺す」「するよ。バイバイ」「殺す。バイバイ」)ってのも思わず笑っちゃった。あるある。この世代の子らって「殺す」をすんごく軽い意味でつかうんだよねー。文字面だけ見たらギョッとしちゃうんだけど。ほむほむも【若いな、と思う。/仲良しだ。】とコメントしている。
義理チョコと本命チョコの見分け方がわからないエピソードも面白かった。
洗面所の足元の収納に引っ越す前日まで気付かなかったとか、どうなのかなあ。別の本で「部屋の窓を開けることを思いつかなかった」とか書いていたほむほむならではで、ふつうはふつうに気付くんだろうなあって思う。「隠し収納庫」っていう言い方が面白かった。たぶんかなりの確率で大して「隠れて」いないと思う。
フジモトマサルの挿し絵もいくつもあって、しみじみと見つめた。良かった。

にょっ記』感想。
にょにょっ記』感想。

はらぺこあおむし エリック=カール作
エリック=カール
偕成社
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2016/03/05

IKKO女の法則

IKKO 女の法則 ― 幸運を引き寄せるココロとオンナの磨き方
IKKO
世界文化社
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kindle版
■IKKO
kindleの月替わりセールにあがってきたので読んでみた。
実はIKKOさんの文章を読むのは初めてではなく、何年か前に某紙に掲載されていたエッセイを初めて読んだときはテレビで拝見するそれと随分キャラクターが違うのに驚いて、その後は見つけたら必ず読んだ。
最初にテレビで彼女をみたのはバラエティー番組だったと思うが、お水系の派手なメイク、髪型、露出の多い派手な服装、明るくはっちゃけた発言などから「こういうひと苦手だなあ」と思ってしまった。でもだんだんIKKOさんの人柄は知れて、苦手感は薄れていっていたように思う。というか、特に好きでも嫌いでもなく何も思っていなかったかもしれない。
だから彼女の文章を読んだとき「えっ、IKKOさんてこんな方だったの!」とビックリしたのだ。
このひとってすっごく真面目でストイックなんだと思った。特に専門分野の『美』についてはものすごく強いポリシーを持っている。若く見えるけど自分よりずっとお姉さんで、いろいろご苦労されて、自分を内からも外側も磨くことを追求されている。

IKKOさんは1962年生まれで、本書の単行本は2007年6月に世界文化社から上梓されたものだから44~45歳くらいのときに書かれたものか。内容的にも「20代のときはこうだった、30代はこうで、40代、45歳の今は」というふうに彼女自身の経験から考えたことなどが中心になっている。

ふだんわたしが読む作家さんのエッセイなどとは文章も、書かれている内容も全然違って、ジャンルが違うというか。新鮮だった。美容エッセイというのはみんなこんな感じなのかもしれないが…。
丁寧なですます調で、言葉づかいなどもとても女らしく、じっくり考えてしっかり推敲されている文章だと感じた。

内容的には美容だけでなく、生活、年齢を重ねていくうえでの人生のアドバイスがIKKOさんの信念に基づいて書かれている。わたしは生まれた時から女性だが、IKKOさんに比べたら全然「女」を磨いていない。というか、「人間を成長させたい」とは考えたことがあるが「良い女」になろうとするのと「良い人間」になろうとするのはなんていうか、努力する内容が全然違うというように解釈していた。IKKOさんは人間的成長の意味でも「女」という表現をつかっているようだ。
世間の流行的には「女」を強調させるのはむしろナンセンスじゃない?みたいなジェンダーレスな考え方がけっこう社会的にここ数十年主流のような気がするんだけど、まあそんな中でこれだけ「女」を強調してあるのは珍しいなというようなことも考えた。これは彼女が男性として生まれたということと決して無関係ではないと思う。
男に生まれてきたからこそ、女性以上に美について研究しようとがんばってこれた。数えきれないほどのコンプレックスがあったからこそ誰よりも努力をして、美容化としてのIKKOが生まれたのだと。
 昔は「次に生まれ変わるなら女に生まれたい」そう思っていましたが、今はそうは思いません。女ではなく男として生まれたから今の私がいる。女として生まれていたら努力を怠っていたかもしれません。だから次に生まれてくるときも私は私、IKKOとして生まれたい。

それにしてもIKKOさんはすごく努力家でストイックな方だ。
正直、わたし自身の考え方や価値観と沿わない部分もあるけれど、大部分は共感し、先輩の貴重な教えとして有難く参考にさせてもらえた。こんなに自分に厳しく、努力を継続させることはなかなか真似できないが、爪の垢でも煎じて飲まなきゃなあ。

2016/03/03

ヴァイキング、ヴァイキング

ヴァイキング、ヴァイキング【新版】 (創元推理文庫)
シャーロット・マクラウド
東京創元社
売り上げランキング: 97,121
kindle版
■シャーロット・マクラウド 翻訳:高田惠子
本書は1982年原書刊行、本邦では1989年5月に東京創元社から翻訳刊行されたものの新装版。
ピーター・シャンディ教授シリーズ第3弾。

読了後の作品印象は第2弾のときと同じくらいなので第1弾が今のところ一番面白かったなあ。でも第2弾よりは第3弾のほうが好きかも。
シャンディ教授が第1弾だともう少し変人要素がある個性的なキャラクターだと思っていたので、第2弾以降のごく普通の知的探偵役が物足りなく感じてしまう。まあこれはこれで悪くないんだけど。その代わりと言っちゃあなんだが、学長トールシェルド・スヴェンソンは素晴らしい! 今回もヴァイキングの遺跡が発見された後の番犬役(?)の凄まじい迫力は想像しただけで笑え、いや、畏れ多い。奥さんのシーグリンデも後半に逞しい馬に乗って登場するシーンがあるんだけど神話の女神か! っていうくらいドラマチックで素敵!

いちおうコージーのジャンルとして扱われているし作品全体の雰囲気もそうなんだけど、第3弾は殺害方法が陰惨を極めるというか、絶対見たくないなあ。しかもまた被害者が無邪気な良い人だった…。
石灰は運動場に線を引くときとかで子ども時代になじみ深いけど、頭に「生」がついて「生石灰」になっただけで扱いを誤るとこんなに恐ろしいことになるなんて!

最後まで読んで犯人そのものはそんなに意外じゃなかったけど(疑っていたわけじゃなくてこの人物をそんなに信頼していなかっただけの話)、犯行動機がよくわからなかった。最終的な目的は明白なんだけど、なんでそのためにあんな残酷なことや悪質なことを何度も繰り返したのかが納得できない、他にやりようはいくらでもあっただろうに…作中でシャンディがわかると言っていたのでそれはつまり★以下【 】内ネタバレにつき白文字【犯人の父親や生まれ育ちの環境の悪さ】が原因ということなんだろうけど、うーん、もうちょっとそこらへん丁寧に運んでほしかったなあ。【想像力が欠如している】とかそういう感じで書いてあったけど、そうなってしまった心理とかがこっちで脳内補完が要る感じだったので。

コージーと云えば恋愛絡みが結構重要な要素のひとつとされるんだけど、第3弾ではなんと御年104歳のレディと102歳のじいさまの熱烈恋愛が。
主人公夫婦も相変わらずのラブラブぶり。50代半ばと40代のカップルが人前で仲の良さを隠さないっていうのはちょっとわたしの感覚だと「日本人はしないような…」と思っちゃうんだけどアメリカ人だしね。殺人とか事故とか相次いでいるからお互い心配していて無事がわかって情熱的になって、という状況もあるしね。それにしても第3弾であらためて書かれているんだけど出会ったのがクリスマスのつぎの週で1月21日に結婚って早いなあ。第1弾の感想でシャンディ教授が結婚の経験があったのかどうか判断に迷う表現があったと書いたが本書で「わたしも家内も結婚はこれがはじめてです」という同氏の発言があったのであれはあんまり意味がない言い回しだったのだとはっきりしてすっきり。そういえば結婚式はどうしたんだろうか、新婚旅行って行ったんだろうか、どっかに書いてあったかなあ?
小さな猫を第2弾と第3弾の間に飼いはじめたらしく、名前はなんとジェーン・オースティン!!ヘレンが特に文字通り猫可愛がり「パパ/ママ」で猫に話しかけているのとかうーん意外だ。そういうキャラだったのか。子育ての大変さと猫のそれを一緒にしちゃうのはどうかと思うぞ。

ヴァイキング、ヴァイキング (創元推理文庫)
高田 恵子 シャーロット・マクラウド
東京創元社
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