2015/11/11

「妙な話」他 芥川龍之介再読週間①

妙な話
妙な話
posted with amazlet at 15.11.11
(2012-09-27)
kindle版
■芥川龍之介
なにげなく「妙な話」(大正9年12月)を読んだら、内容はすっかり忘れていたのだがすっごく面白かった。それで、これを機会に芥川龍之介再読週間をやることにしてkindleでは無料なのを良いことにちょこちょこ読んでいる。芥川の愛読者は多いのでウカツにモノも言えない心境であるが、開き直って文学上の解釈などは空の彼方と云うことにしておいて、自分の忘備録として「感想メモ」だけをしたためさせていただく。以前にせっかくちくま文庫の全集をまとめ読みしたのに細かい感想を全然書いていなかった…。

妙な話」は途中までは夫想いの貞淑な妻の不思議なエピソードと思わせて置いて最後の数行で「あっ」と云わせるスゴい話だった。わたし個人の解釈としては、「赤帽」は千枝子の無意識が創り出した幻影のたぐいだと思う。彼女の潜在意識にある罪悪感がそういうふうに見せたのだろう。でもこういうふうに美談をぐしゃっと潰すその冷酷さと鮮やかさが、芥川と云う人の人間観察の容赦なさを表しているんだとしたら……おっそろしーというかカナシーというか。

アグニの神」は予想通りの展開をする、こういうパターンの話は芥川以降腐るほどお話でも映像文化、アニメなどで腐るほど描かれているからだ。ただ芥川の話はラストの切り上げの潔さがすごい。ラスト3行、もう一言なにか解釈めいたことを言いたいところを言わないところが。エレンという西洋の名前に「恵蓮」という漢字が用いられていることが印象に残った。

煙草と悪魔」まるで星新一のよく出来たショート・ショートのようなのでいっぺん読んだら忘れられない。お話として面白い。

悪魔」はラスト2行のために書かれた話だろう(そういうの多いな)。一昔前のテーマだと思うけど、男の人って、いまもそうなのかなー。

かちかち山」は童話の「かちかち山」のこれもパロディ、というのだろうか? とにかく文章が美しい。

桃太郎」は童話の明らかなパロディ。桃太郎が粗暴で鬼が島の鬼さんたちが気の毒だという視点。面白い。

お富の貞操」はどういうことか説明は出来ないんだけど、「なんだかそういうことってあるような気がする」という変な説得力がある話。結局、新公がどういう立場の人間かははっきりとは書かれない(二十年後に相当の位置にいることは書かれるけど)。でもこの内容でなんでこの題名なんだろうなあ…逆じゃないのかなあ。

寒山拾得」安倍公房的な、わかったようなわからんような不思議な感じの話。

魔術」最初に読んだときに感心してすごく面白かったのでいまだに話を覚えているけれども何回読んでもやっぱり面白い話。ミステリチック。

芥川龍之介全集〈4〉 (ちくま文庫)
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