2015/05/28

三国志 09 図南の巻

kindle版
■吉川英治
わたしは孫権が嫌いだ。
呉の王様(玄徳の子ども世代)なんだけど、まー何というか…性格が嫌い。
魏の曹操は恐ろしいし人間的にどうかと思う面もあるが嫌いではない。
そしていままで国を持たなかった吉川英治版三国志の主人公、劉備玄徳がようやく、この「成都陥落」で蜀の王様になれました…!
ぱちぱちぱちぱち☆
良かったね、玄徳。
でも実はわたしは玄徳はそんなに好きではない。何故ならば、よくわからないからだ。すごく徳のある、情に厚い、素晴らしい人物だとは思うんだけど、そういう面がある一方で「よく逃げる」とか「全部孔明にいちいち聞く」とかいう面もあって、うーん。
主人公のわりに、あんまり出てこないってのもあるかもね。一番出てくるのは曹操じゃないかな。
孔明は…これもよくわからないけど知的で落ち着いたひとっていうのは好きかな。
玄徳の「桃園の誓い」の関羽は好き、義に厚い格好良い、渋い。張飛は乱暴だから嫌い。

この「図南の巻」では魔法使いみたいなひとが2人も出てくる。仙人ってこういうひとを云うのかな。
1人は左慈。曹操と同郷だという。片目片足が不自由な老人で白い藤の花を冠にさし青い色の衣を着ている。蜜柑の中身だけを抜いたり?また入れたり?する。拷問されても平気、鉄の鎖もこなごなに解いてしまう。水・食べ物を絶たれて10日経っても平気。唇から水をふいて花瓶に大輪の牡丹を咲かせる。そこらの池に糸を垂れて(遠い地の)松江の鱸を何匹も釣り上げる。袂から薑を出す。その薑を一巻の書物に変える。盃を放り投げて白い鳩に変える。いつのまにか城外に出ている…。
というような不思議なことをする。

もう1人は管輅。神卜の達人。幼い時から神童といわれ、長じてもその名を辱めない。学者としても有能。占いをすればどれもぴたりと当てる。このひとのエピソードの中であの有名な「天命をつかさどる碁盤をかこむ2人」が出てきたのでびっくりした。そうか、三国志に出てくるのか…。昔話とかそういうので子どもの頃から聞いたことがある話だったんだけど。

彼らはいずれも曹操がらみで出てくるけど家来とかじゃなくてふらりと風のような存在のようです。面白いなあ!

2015/05/25

三国志 08 望蜀の巻

kindle版
■吉川英治
赤壁の戦いの終盤から終り。
義を重んじる関羽の性格を見抜いたうえでいったんは避けたものの、抗議を受けてあえて曹操にぶつける孔明のエピソードが面白かった。
曹操が孔明の未熟だと思って「あはははは。あははは」と大笑いした直後に孔明が放った視覚がばばーんと現れてピンチに陥る、というのをご丁寧に3回も繰り返してあったのが面白かった。
曹操の部下の周瑜が敵ながら才覚があって憎たらしい。
同じ曹操の部下に周瑜の同僚の魯粛というのがいるんだけど、このひとがほんっっっとに器が小さくて。人柄はすんごい良いんだけど。孔明が「周瑜に言っちゃだめですよ」って言って「了解了解」って言っておきながら速攻周瑜にバラしている。そんなのばっかり何回も出てくる。それは決して意地悪とか策略じゃなくて、たんに「秘密」を自分一人の胸に抱えていることが出来なくて不安だから友達の周瑜に「孔明はこう言ってたけど、どう思う?」って相談したいだけっていうのがすんごくよくわかるんだよね。そのあとも孔明のところにフツーに顔だしてるし。悪意が無いから出来るっていうか。
あーもー魯粛さんってば!
そしてついには味方の周瑜にすら「あんたは人柄は良いけど仕事は全然才能が無いな!」的な罵声をあびる…だって命かかってんだもんなあ、周瑜の気持ちわかるよ~勘弁してくれよこのオヤジって思うよな~。
こういうひと、そこらへんにいくらでもいそうなんだけど、平和な現代の日本ならともかく三国志時代によくここまで出世できたもんだ!

それからこの巻ではいきなりいつのまにか孔明の正夫人(甘夫人)が病死していたと出てきて、いわゆる政略結婚が仕組まれる。孫権の妹、弓腰姫なんと16,7歳。対する玄徳はもう50近い。これをエサとして玄徳を呼び出し暗殺してしまおうというハラ、例によって考えたのは周瑜。
このお姫様はなかなかカッコイイ凛としたきれいなかたみたいだけど、そのお母様が呉の皇帝の親にあるまじきバカっぷりで笑える。娘可愛さしかなくて、国のことなんていっさい考えてない。

後半は蜀の国関係。ここの王様もお坊ちゃま気質の馬鹿っぽいなあ…。孫権も自己中の馬鹿だしなあ…。玄徳は義に厚いけど弱いし。総合的に見ると曹操って怖いけど、王様の才能や華があり、なによりめっちゃ強い。
三国志の「三国」は魏呉蜀のことだけど、圧倒的に秀でている曹操に他はどうやって対抗していくんだろう。
玄徳は明らかに孔明と会えてよかったねって感じだけどいまのところまだどこの国も落ち着いて収めたことがないぞ…。

2015/05/24

太陽がもったいない

太陽がもったいない (単行本)
山崎 ナオコーラ
筑摩書房
売り上げランキング: 418,853
■山崎ナオコーラ
これは紙の本。
先日、大阪梅田のルクア・イーレの中にレンタルじゃないほうの蔦屋書店がオープンして、どんなもんかと見に行ったときに購入した。蔦谷書店はすごくオシャレでカフェもあり、英字の雑誌もたくさんあって、ジャンル別作家別だけじゃなくて同じ本が区分けによってダブって置いてあったりしてセレクトショップみたいな感じだった。本の総量はそう多くない気がしたし、買いたい本が決まっている場合なんかはどこに置いてあるかがわかりにくいので向いていないかもだけど、なんか面白いの無いかな~と新規開拓をしたいときなんかは思い掛けない本に出会えるかも知れない。本棚が円形なのでいつのまにか一周している。いま話題のドローンも置いてあった。詳しくは梅田蔦谷書店のサイトへどうぞ。

単行本で、よくある四六版(127×188)ではなく、ちょっと珍しい大きさでとても可愛い。178×180だそうだ。正方形に近い。初めての書店なのでカバーをお願いしたんだけど、新人の書店員さんがモタつき、ベテランのおじさま書店員さんにバトンタッチしていたので「ああ、そうか準備してあるのは使えなかったんだな」とわかった。

この本が出版されたのは2014年7月。実は発売より前にネットを見ていてベランダ園芸を扱ったエッセイだというので「おっ」と思っていたのだが、そのあと失念してしまっていた。蔦谷書店で本棚をぷらぷら眺めて「この本がここに来るのか~」などと面白がっていて見つけた。書棚にこれが刺さっていて「あっ」と手に取り、その真後ろを振り返ってテーマごとに特集されているディスプレイが園芸モノだったので見たらそこにも積んであった。

本書の初出はwebちくま(2013年3月~2014年1月)で、それに加筆修正をして一書とした、ものだそうだ。
いとうせいこうのベランダー・エッセイみたいな雰囲気の、でも著者が三十代女性だからもっと繊細な感じかな、と想定して読みはじめ、まああながち間違いではなかったけど、それよりもびっくりしたのは園芸とは違う、その時々に山崎さんが考えていることや普段からの主張などが結構詳しく書かれていることで、それがいまのテレビなんかでは言いにくい内容で、下手にマスコミなんかに部分的に流れて誤解されるとマズそうだなあという感じのことが多く、そうか、山崎さんはこういう考えをお持ちで、そしてそれを書いちゃう方なんだなーと非常に興味深く読んだ。
似たようなこと、近いことを考えたことがないわけじゃないけどその内容よりも、ここまでキッパリ主張しているそのことが面白く思ったり目を丸くしてしまった。曖昧にしないんだ~、ぼかさないんだ~と思って。わかるひとだけに伝わるように毒を込めて、だけどオブラートに包んで表面上はあたりさわりなく書くことだって作家だから出来るはず、でも山崎さんは世間にマイナスに捉えられそうなこともとっても明瞭に「こう思う」って言い切る。そこが凄い。

もちろん本書のメインは園芸ネタ。
山崎さんは苗からじゃなくて種から育てたい派だそうで、それは発芽のときが一番好きだからのようだ。でも種からだとどうしても「間引き」をしなくちゃいけなくて、それはあんまり好きじゃないと。数種類どころか30種類くらい蒔いておられるのでびっくりした。全部上手く育つというわけではなくて、枯れてしまうものもあるようだ。
メインは薔薇を4種類だそうだが、これはさすがに株から。
このエッセイを書きはじめたころは当面その賃貸マンションに住み続けるつもりだったそうだが、途中で結婚してご主人が同居することになり、そして本書の最後で引っ越すことになる。それも今より家賃が6万少ないところに、とか、それは夫氏の年収(具体的に書いてある)に合わせた生活をするためだとかかなりセキララ。
園芸エッセイだからもっと浮世離れしたまったりした雰囲気を想定していたが、そうではなかった。
長嶋(有)さんが「山崎ナオコーラ=ロボット説」を『本当のことしかいってない』で書かれていたけどどういうことだったっけなあ? 

2015/05/21

三国志 07 赤壁の巻

kindle版
■吉川英治
ようやく玄徳と孔明が会話を交わした。
玄徳は孔明とひとつ車に乗り、新野の城内へ帰る途中も、親しげに語り合っていた。
 このとき孔明は二十七歳、劉備玄徳は四十七であった。
 新野に帰ってからも、ふたりは寝るにも、室を共にし、食事をするにも、卓をべつにしたことがない。】とある。
一緒にご飯食べるまではわかったけど同じ部屋で27歳と47歳の男が一緒に寝るの…? それってうーんと、どこまで深読みしたらいいのかなあ。昔の武士みたく菊花の契り的なのもあったのかなあとか考えちゃったりなんかして。
当然、昔からの義弟である関羽、張飛は面白くないよね。

そんななかでまた玄徳は責められて負けて逃げていくし…ほんとこのひと単身で逃げて後で「妻子も置いてきてしまった」パターンが多いな。そしてはぐれた糜夫人はお荷物になるのを嫌って自ら井戸に飛び込んじゃう
しかし孔明がいたから最悪の負け戦まではいかずにすんだということだが…。

でもそういう「蜜月」も長くなくて、曹操が呉(孫権)に対して「服従か、戦争か」を迫ってきたのを【呉を説いて、呉を曹操に当らせんため】孔明は単身、呉に入る。
呉では孫権の話になるのかと思いきや、ほぼ後半ずっとその家来の周瑜と孔明の狐と狸の騙し合い&周瑜を中心とした呉と曹操の騙し合い、である。孔明があんまりにも凄すぎるから玄徳の元に無事返すと脅威になると周瑜は怖れたんだね。孔明も表向きは呉を助けに来ているけどお腹の中は結局は玄徳のために動いているわけで。

『三国志』というと兵法とか騙し合い作戦の応酬みたいなイメージが未読のときからあったけど、この07赤壁の巻からようやくそういう話になった。つまり、諸葛亮孔明が出てきてから。それまでは正直少年漫画のバトルだった。

この巻の最後で孔明は呉からサヨナラする。さあ、玄徳との蜜月がまた始まるのかな!?

2015/05/19

三国志 06 孔明の巻

kindle版
■吉川英治
「孔明の巻」だからようやく諸葛亮孔明が出てくるもんだと思ったが、読んでも読んでも出てこない。
曹操大活躍。曹操は人格的に登場時から粗暴で非道で如何なものかと思っていたが、なかなかどうして、魅力ある面も出来てきたようではある(地があれだし、まだまだ地雷がありそうで怖いけど)。それになにしろ、強い。
それにひきかえ劉備玄徳は……「三国志」を読んだことが無くとも劉備玄徳と諸葛亮孔明の名前は知っていたのに、玄徳ってこんなに負け戦ばっかりだったの?そんで逃げてばっかりだったの?って感じ。ぜんぜん知らなかった。
もう一方の孔明は全然出てこないし…。
「三国志の主人公って曹操じゃないの?」って感じ。

そして06も終盤になってようやく孔明の名前が出てきた。徐庶という人物の口から玄徳に「いい人材がいるですよ」という風に紹介されるのである。で、そこからしばらく「諸葛氏一家」で孔明の一族の話からはじまりその生い立ちみたいなのの紹介の章になる。

で、それが終わってようやく孔明と会うのかと思いきや、訪ねて行っても留守、他の人を孔明と間違って挨拶をする、なんてのが何回も繰り返される。うわあ、「三国志」でこんなに焦らされるとは思わなかったよ! まあでも写真とか人相書きがある時代じゃなし、こんなものかな。でも、呼び出さずに訪ねて行く礼を持ちたいというのはなかなか好感。しかし、手紙で「いついつ訪ねるから家にいてね」くらい書けばいいのにな~それは駄目なのかな~。手紙を書くんだけどそういう日程調整的なことは書かずに志だけ書くんだよね。まあ、そこが常人とは違うところなんだろうけど。

で、この巻の最後のほうでようやく在宅中の孔明を訪ねることが出来たんだけど、ここへきてまたも焦らしが! なんと孔明昼寝してるし! 玄徳気をつかって起こさないで待ってるし! うわあ~。

最後の最後でやっと、やっとの御対面。ああ疲れた。で、イマイチ乗り気じゃない孔明を玄徳が口説き始めたところで06孔明の巻、完。続きは07へ。どこが「孔明の巻」なんじゃ~い!

っていうか諸葛亮孔明って「三国志」全体で見てもこんなに後半から出てくるキャラ(キャラって云うな)だったんだー。でも一、二を争う有名人気ぶりだよね。この時点でまだ27歳とかそのへんだっていうのもスゴイ。若いね!
さてさて、ここからどんな活躍がはじまるのか! 期待高まるぜ! ハードル上がってるぜ!

2015/05/18

三国志 05 臣道の巻

kindle版
■吉川英治
呂布縊殺される。

この巻では劉備玄徳の夫人(なんと1人じゃなくて2人、正妻と妾がいた!)について珍しく結構詳しめに書かれている箇所がある(大歩す臣道・二)。妾の糜夫人が例の白芙蓉さんだというから「おおー」。

それにしてもこの巻なんか読んでると玄徳よりも関羽のほうがなんだかすんごいんじゃないかという気がしてくる(とくに終盤)…。
玄徳は武運がないというかなんというか。策を練るとかは関羽より上みたいだけどいままで通して読んできて結構負けて逃げるパターンが多いんだよね、「強いなあ」とワクワクするのがあんまり無い。
敵将である曹操が関羽に惚れ込み、まるで恋するかのように大事にするのとか、曹操にそういうところがあったのかと意外。より穏やかで人徳の篤い玄徳とは仲良かった時期もあったりしたのに結構あっさり敵となったくせにね。まあこれは玄徳は「ナンバーワン」クラスで、関羽は「ナンバーツー」クラスだからだろう。
関羽は髯が長く美しいことで有名だったそうだが、髯を覆う髯嚢を胸にかけたりするのにはびっくり。どれくらい長いかというと「腹をも過ぎる漆黒の長髯」と書いてあるからすごい。帝から「美髯公(びぜんこう)」とのニックネームを賜ったりしちゃう。

この巻には「奇舌学人」の第三章で禰衡(ねいこう)という人物が出てくるが、絵に描いたような傲岸不遜ぶりでものすごく口が悪くて権力者にも毒づきまくる。それがなにかの伏線なのかと思って読んでいたのだが、単なるそれだけの人物だったみたいで…。
なんだったの? って感じ。実在の人物だったみたいだけど、変なひとだなあ。こういうのが実は表面的な言動で、実は凄い常識人、とかじゃないところが逆にリアルなのだろうか。権力者にも媚びない態度は清々しいと云えなくもないけど…。

この巻もいいところで終わるので続きが気になる。
というか三国志すんごいエンタメ、伊達に長く愛読されていないなあとしみじみ思う、まさにやめられないとまらない!
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2015/05/17

東京百景 【再読】

東京百景 (ヨシモトブックス)
又吉 直樹
ワニブックス
売り上げランキング: 6,540
■又吉直樹
近著『火花』を面白く読み、モデルはどういう方なのかなあとか思っていろいろネットなどを見ているうちに、書評家の大森(望)さんがエッセイの『東京百景』に同じエピソードが書いてあったりする部分もあるとおっしゃっていて、細かいことは忘れていたので再読してみた。そしたらコーデュロイのパンツの件は鳥籠パークの橋本さんという先輩との話(四十*三宿の住宅街)だった。また、後輩に奢ってお礼を言われたときに後輩のほうを見ずに「全然、全然」といつも言うのはチャイルドマシーンの山本吉貫さんという先輩との話(八十二*ルミネtheよしもと)だった。

前回はそんなに気にしなかったが、意識してみればこのエッセイには何カ所も花火についてふれる箇所があった。「花火が好き」とはっきり書いてあるし、夏の記念に花火を買ったり、そもそも又吉さんの最初の漫才コンビ名は「線香花火」だったとか。
あと、「おっしゃった」を「仰った」と漢字で書かれるのもわりと珍しいような。

本書はエッセイ集なのだけど、ところどころ虚構の世界が混じっている。既にこのときから「フィクション」を書いておられたのだとも云える。
正直、又吉さんの芸人さんとしての「笑い」はよくわからないのだが、書かれるものは素直に良いなと思う。
今回読み返していてもっとも美しいと思った部分を書き写す(九十三*湯島天神の瓦斯灯)より。なお、この部分の前のターバンのくだりもパロディ風で面白いのだが書き写す部分が長くなりすぎるので…。

  夏の間、火をつける機会がなかった線香花火が鞄にあった。暮れなずんでいた陽がようやく落ち、瓦斯灯が境内をほのかに照らした。線香花火に火をつけると、じりじりと火花が風景を剥がし、その下に描かれた秋を浮き彫りにした。もう贋作の夏さえも終わろうとしている。瓦斯灯がチカチカと点滅していた。

前回の『東京百景』感想はこちら。/ 『火花』の感想はこちら。

2015/05/16

三国志 04 草莽の巻

kindle版
■吉川英治
先日の日記では04の途中までだったがとりあえず04最後まで読んだ。
この巻はウィキペディアで先にネタバレを知ってしまっていた劉安の驚愕のもてなしのエピソードが出てきた。これ、事前に知ってしまっていたので「ああこれがそうか…」とわりに冷静に読んだが未知でいきなり読んだらどうだったかなあ、なんせ小説なのに作者ご本人が「読者へ」とことわりがきを入れてフォローするくらいなのだ。リアルに想像できないというかしたくないね。価値観の違いって難しい。これが美談なんだからなー。まあ日本にも『カチカチ山』とかあるけど…。

そしてもうひとつ、夏侯惇の「自分の眼球を食べちゃう」(いちおう白文字にしておく)くだりが出てきた。これは事前に知らなかったので読みながら「ぎゃー」と思った。気持ち悪いよう~。

まあそんなこと言ってたら三国志なんてしょっちゅう人の首がぶっ飛んでる話だから読めないんだが! HAHAHA!(なぜか笑っておく)

っていうかネタバレはやっぱりしないほうがいいのかな? これだけ有名な話だからいいのかな?
でも気になるので前回書いた感想でそのまま書いちゃってるところ白文字に変えておこう……もう読んじゃって「ネタバレすなー!」ってご不快に思われた方いらしたら申し訳ございませんでした。

この小説には見たこともない熟語がたくさん出てきて「ほえ~こんな言葉があったんだなあ」って1ページごとに感心してるような感じなんだけど、たとえばこの04のタイトル「草莽」とかね。
ウィキペディアによれば(そうもう)とは、本来は民間にあって地位を求めず、国家的危機の際に国家への忠誠心に基づく行動に出る人(「草莽之臣」)を指すが、幕末期の日本においては特殊な意味を有した。】。
特殊な意味って? というのはその下に書いてあるのでリンクしときます・詳しくはこちらをご参照ください
まあ、スローガン的にキャッチ―な言葉を掲げて利用したって感じかな~。

スローガンといえば三国志ではよく「」をしたためて各所にそれを知らせ(=檄を飛ばして)、兵を募るという展開が出てくるんだけど(04には無くて、02とかによく出てきた)この「檄」というのは辞書によると
1 古代中国で、召集または説諭の文書。木札を用いたという。めしぶみ。さとしぶみ。
 2 自分の考えや主張を述べて大衆に行動を促す文書。檄文。ふれぶみ。
という意味で、いまでいうとマニフェストみたいな感じ?
そして辞書には続けて、
[補説]誤用が定着して「がんばれと励ます」「激励する文書を送る」という意味でも用いられる。文化庁が発表した平成19年度「国語に関する世論調査」では、「自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求めること」で使う人が19.3パーセント、「元気のない者に刺激を与えて活気づけること」で使う人が72.9パーセントという結果が出ている。】とある。

ぐわーん!
「檄を飛ばす」って「叱咤激励して励ます感じ?」って思ってたよ、それって誤用だったんだ!
イヤ、三国志で「檄を飛ばす」ときって全然励ますとかそういうシチュエーションじゃなかったから辞書で調べたらこう書いてあったんだよね。
「檄を飛ばす」で検索すると一番最初に文化庁の記事が上がっていて、なかなか面白かった。誤用でつかってるひとのほうが7割以上かあ。じゃあ下手に正しい意味で使っても「?」って思われちゃうかもしれないよね、そういう言葉ってほかにも結構あるみたいで難しいトコロですな…。

2015/05/14

三国志 01~04途中

三国志 01 序
三国志 01 序
posted with amazlet at 15.05.14
(2013-10-22)
kindle版
■吉川英治
三国志をいままで読んだことがなかったのだが青空文庫のをkindleで無料で読めることからためしに読みはじめてみたら面白くて現在絶賛読書中。
歴史小説読みじゃないし、難しいからすぐ断念するんじゃないかと思っていたのだ。そしたら見たことも無い熟語がちょこちょこ出てきてさすがは吉川英治大先生よ、語彙の多さハンパないと畏れ敬いつつも文章そのものがすごく読みやすい簡潔な明瞭さで気持ちよくサクサク読める。
難しい単語も前後の流れでなんとなく意味はわかるし、なにしろkindleだからわからなければすぐ指でなぞれば辞書につながって意味がわかる。登場人物の説明もx-rayがあるので知りたければ知れる(けどこれは読書の興を殺ぐのであんまりやらない)。読みやすい活字と行間で物理的に軽い電子書籍で読むから気軽にチャレンジできてしかも無料だなんて、本当にありがたいことである。青空文庫のボランティアの入力者様々だ。
講談社と新潮から文庫が出ているらしいが、青空文庫のは講談社の『吉川英治歴史時代文庫』全8巻を底本にして12に分けて配信されている。ちなみに新潮文庫だと全10巻らしい。

三国志 01 序
三国志 02 桃園の巻
三国志 03 群星の巻
三国志 04 草莽の巻
三国志 05 臣道の巻
三国志 06 孔明の巻
三国志 07 赤壁の巻
三国志 08 望蜀の巻
三国志 09 図南の巻
三国志 10 出師の巻
三国志 11 五丈原の巻
三国志 12 篇外余録

内容はこう。で、現在04草莽の巻を読書中。
01序は「はじめに」的なものでごく短い。
まだ04の段階での感想だけど、「これそのまま少年漫画になるなあ、バトルによって成り上がっていく、少年漫画の王道だよなあまさに。あ、でも殺人だし結構グロいからそのまんまだと少年誌は無理?」というところ。実際、ウィキペディアによればこの吉川英治版の三国志を原作として横山光輝が漫画化していて、【1971年から1986年まで、潮出版社『希望の友』『少年ワールド』『コミックトム』に連載された。単行本は全60巻(文庫版は全30巻)が潮出版社から発売されている。】とのこと。

主人公劉備玄徳は義を重んじるものすごく聖人君子だけど、それ以外の将軍とかの登場人物はいずれも乱暴で自己中心的で粗野で私利私欲にはしる暴君ばっかり。日本の歴史で織田信長って殺戮の嵐で怖いなって思ってたけど三国志は織田信長みたいなのやそれよりもっとヒドいのがウヨウヨ次から次へと出てくる。大陸だなあ!って感じ。
そしてそういうのにきちんと狡猾な智恵を与える参謀がついていて、なかなか小憎たらしい。
いまの悪政を倒さんと戦った勝者がおんなじような悪政を敷く、その繰り返しで玄徳なんとかして!って思うけどこの時代、帝から官位を得ていない者なんて全然相手にされないっていうのがくやしい。
劉備玄徳って貧しい育ちだったんだなあ。でも先祖はどこぞの王様で。お母様がその矜持を忘れないように「玄徳の買ってきた高いお茶(2年間働いて貯めた銀だけでは足りず…ってどんだけ高いんだあ!)を川に投げ捨てちゃう」(ネタバレなので白文字)ところは「ぎゃー」って思った。そのあとバシバシ叩いてるし。すごい男前。賢母でいらしたんだなあ。
1巻ではお母様がたまに出てきたのに途中全然出て来なくなって玄徳も主人公だけどずっと出てくるわけじゃなくてしばらくぶりに出てきたりで、そして久々にお母様出てきたと思ったらそばに玄徳の妻と子もいたりして、「いつのまに結婚して子ども出来てたの!?」って感じ、この小説が書かれた時代の男性にとってそのへんは大したことじゃないってことかしらね。政治とか出世がメインで。最初の方で美人のお姫様と逢引してたけどあのかたなのかしら?
(美人と云えば「群星の巻」の「傾国」の楽女貂蟬の話はなかなかわかりやすくて面白かったなあ。面白いというと語弊があるけど…まあここで女の人権云々するのはなんか違うし)。
玄徳が兄弟の誓いをたてる関羽は知的でおちついた感じだけど張飛は粗暴で酒飲みで短気なのでハラハラする。「禁酒砕杯の約」では案の定、大失態をやらかすし…。

最後まで読み通せるかはいまだに自信がないけど、とりあえず興味が続く限りは読もうかと。
なかなかエンタメ性が高く、巻の最後が気になるところで終わってるんだよね。最初は「桃園」で終わろうかと思ってたくらいなんだけど「えっ、それでどうなったの」って気になったので続きも読むことにしたので。
それにしても漫画だと全60巻とは!

三国志 文庫 全8巻 完結セット (吉川英治歴史時代文庫)
吉川 英治
講談社
売り上げランキング: 6,113

三国志 (新書版) 全60巻 (希望コミックス)
横山 光輝
潮出版社
売り上げランキング: 55,582


2015/05/09

だれがコマドリを殺したのか?

だれがコマドリを殺したのか? (創元推理文庫)
東京創元社 (2015-03-23)
売り上げランキング: 346
kindle版
■イーデン・フィルポッツ 翻訳:武藤崇恵
本書は1924年に発表された"Who Killed Cock Robin?"の新訳で、旧訳は1960年に小山内徹訳『誰が駒鳥を殺したか?』。
原書はハリントン・ヘクスト名義での刊だったようだが、日本ではフィルポッツの名前で出たようだ。日本ではフィルポッツといえば『赤毛のレドメイン家』の作者で、かの江戸川乱歩が絶賛したことで有名だからだろう。現にわたしもレドメイン家を読んだことはないんだけどそのエピソードやアラスジ・何故有名なのかは承知してしまっている。というわけでレドメイン家は今更読む気がしないのだが、こちらについては予備知識も無いことだし、マザーグースにちなんだタイトルも気になるので読んでみた。

冒頭から面白く読んだがしばらくして「あれ、ずっとこういう書き方なんだ」とちょっとびっくりした。なんていうか、第三者的というか説明的というか「ずっと概要を読んでいる気分」にしかなれなかったのだ。登場人物に共感したり、入り込めない。
クリスティと同時代のひとだと思うがクリスティがこの話を書いたらもっと面白かったんじゃないかなとか思ってしまった。(後でウィキペディアを見たら同時代どころか【ハイティーン時代のアガサ・クリスティの隣家に住んでおり、当時創作を始めたばかりのクリスティの小説を読み適確な助言をしたことが、クリスティの自伝に記されている。】なんだってね!凄い!年齢は28歳差あるので、お隣のおじさん、ってことか。)

若い美男美女の恋愛の話でしかし端からその「危うさ、はかなさ」を強調して書かれているのでミステリだし、どこかで破綻するんだろうな、タイトルが「コマドリを殺したのか」で、主な登場人物に愛称が「コマドリ」である女性が出てくるので「そのままやんけ!」と内心ツッコみ、「なーんだ、マザーグースは関係ないんだ」とちょっとがっかりしつつもこのひとが殺されるんだろうなということは想像しつつ読んでいったのだがなかなか殺人事件に至らないので「そうかフィルポッツってそういう作家なのかな」と思った。ミステリーを書くけど普通小説っぽいの書くってひといるでしょう。読了後、戸川安宣さん(!!)による解説に目を通したらその憶測はそう遠くなかったようだ。【日本で、戦前からこれほどの人気を得ていた割に、紹介される作品数が少なかったのは、あまりに膨大な著作の中で、どれがミステリ作品であるのか、見当がつけにくかったことが原因だろう。本国では、田園小説家のイメージが強かったこともあってか、フィルポッツのミステリについて、言及されることはきわめて少なかった。】とあるのが非常に興味深い。

フィルポッツが「田園小説家」だと知ってなんだか妙に納得したのもある。だからこういう書き方なんだね。
ミステリとしてはどうかというと、なんせ登場人物が少ないし、その中で犯行可能なのってごく限られてくるから「これで意外な結末になるとしたらものすごいことが起こらないと無理だけど、どうなんだろう」てなことも考えつつ読んだけど、まあ、ミステリをある程度読みなれている読者には定石どおりなんじゃないか。細かい点で気になるところがないではないし傑作だとはとても言えないが、古典好きには安心してゆったり楽しめる作品だと思う。

2015/05/04

おべんとうの時間 3

おべんとうの時間 3 (翼の王国books)
阿部 了 阿部直美
木楽舎 (2015-04-15)
売り上げランキング: 324
■阿部了(写真)・阿部直美(文)
いつのまにか出ていた(2015.4.15刊)と一昨日の夜知り、昨日(4/28)帰りにあわてて買ってきた。
最初にやっぱり写真だけを順番に最後まで見てしまう。お弁当の持ち主さんの写真と、お弁当の写真が見開きで、次のページでそのひとがお弁当を食べているシーンの写真と、お名前と職業が種明かし(?)されて、左側のページはインタビューを受けて書かれた、そのひとの口調で書かれたまるで口述筆記みたいな阿部直美さんによる文章。一巡目は写真と文章をちらちら見ながらページを繰って、二巡目は写真を確かめるようにして文章を読んでいく。
お弁当についてのインタビューでもあるんだけど、そのひとの職業とか生活とか誰がお弁当を作っているのかとかの話。お弁当紹介っていうよりは人物紹介の色が濃い。あれ?このひとさっきの子のお父さんだ、なんていうつながりも面白い。

日本中にはお弁当を食べているひとがたくさんいるんだろうけどたとえば普通の会社員とかはこの本にはあんまり出てこなくて、変わった職業の方の、そして都心部じゃなくて地方の方のが多いっていうのはやっぱり「お弁当であればなんでも」じゃなくて「こういうひとのお弁当が撮りたい」というコンセプトというか写真家(阿部了さんの)興味・関心の先がどこにあるかっていうのがメインにあるからであって、そしてそれは時期によって移り変わっていくものである、らしい。このシリーズにはお弁当の記事以外にもこの本の仕事にまつわるエッセイが載っているんだけど、「村の移動販売」というタイトルのそれの内容がなかなか興味深くて、取材のきっかけが小学校5年生の娘さんが書いた「いどうはんばい、なんもく、あんどうさん、おにぎり」だったっていうのも凄いし、
一瞬わからず捨てそうになった。我に返って、丸めたその紙を見つめる。そうだった。テレビを見た娘が「安藤さん、おにぎり食べてたよ」と以前言ったことがあった。「安藤さんって誰?」と聞けば、「車で食べ物を売ってる人」と言う。いや、そんな会話をした気がする。それもかなり前の話だ。当時の私は、他の分野の人探しに夢中になっていたようである。メモを前に、さすがサトルの娘だと感心した。弁当情報をノートにマメに書きこむ父を見て、我が娘は育ったのだった。
というのが面白い。
お弁当を食べる習慣のある変わったひとの情報が入ってきてもそのときに関心が無いジャンルの人のことだったらまったくスルーしてしまうという、その感じが、ああ、なんていうか職人というのか芸術家肌というのか……でもって子どもさんのほうはもっと視野広く「あ、お弁当食べてるひとがいる、お父さんが興味あるかも?」なんつってちゃんとメモしてるわけで……それが後々実際役に立って仕事に結びついているわけで、ああ凄いなあと。

ふだんの記事ではそのひとに集中しているから書けない裏話的なものが間にある「エッセイ」で書かれるわけだけど、例えば「パラソルの下で」では取材の約束をしてそのときに「こんなふうに本になるんですよ」みたいに見本を見せたら奥さんが張り切って重箱におかずをたくさん詰めて持ってきたっていうエピソードがあって、以前の本にもそれに近いことが書いてあったけど、でも本当にこれはありそうな話で、だって自分ちのお弁当が写真撮られて名前と顔も出て雑誌に載るわ、ゆくゆくは本になって記録に残って誰が見るかわからないけど日本のたくさんのひとが見るかも知れない――ってなったときに本当に普段通りのそのまんまのお弁当出せるかって、やっぱりその多少に差はあれどチカラ入ってしまうだろう、って思うもん。もし自分のお弁当が載るとなったらとりあえず自分史上最大の気を使って「普段っぽいけどさりげなく良いお弁当に仕上げたい!それにはどういうおかずがイイだろう?色合いは?」って考えると思うもん。かといってアポなしでいきなり来て写真撮られて「本にしてもイイか?」と聞かれても結局は「いや、ちょっと待って、それなら別の日にちゃんとしたのを用意するからそれを撮って欲しい」ってなるだろうし。

百歩譲ってテレビの取材なら「流れていくリアルタイム」ということでオッケーになるかもしれないことが、「単行本になる」という前提だとやはりいろいろ、あるんじゃないかな。お弁当だけなら、そこまで無いかもしれないけど名前と顔が出るので、でもそれなしに、単純にお弁当の写真だけだったらこのシリーズは全然違うものね。やっぱり、「ひと」にスポットライトがあたっているから、そこに重点が置かれてそのうえで「そのひとの、お弁当」なのだから。

お弁当の具を見ていて、やっぱりダントツに入っているのは卵焼き。プチトマトとブロッコリーは彩り的に便利なこともあり、頻度高し。食べる側の人気が高いんだろうな、っていうのは塩鮭ね、これは冷めてもご飯がすすむから美味しい、わかるわかるー。おにぎりは案外少なくて、でも白ごはんそのままっていうのも少なくて、ふりかけだったり梅干しだったりお漬物的なものだったりが添えられている。1つのお弁当箱のひともいるけど、ごはんとおかずは別っていうのも多くて、中には3つとか4つとか入れ物があるひとも何人か。

作ってくれるのは自分、あるいはお嫁さん、お母さん、おばあちゃん。
それぞれに個性があるんだけど、ああでも日本のお弁当だな、美味しそうだな、って感心する。こういう場合のだからかもだけど、見るからに冷凍食品っていうのは無いかな。
いろんなものを、ちょこちょこ詰めていく、美味しく、見た目もきれいに出来たらきっとわくわくする。
毎日忙しい中で習慣化してしまうとついつい楽な方に楽な方に流れがちだけど、たまにこういう本を見て「理想」を思い出すというか、純粋に刺激を受けるというか、やっぱ美味しそうだよなあこういうの。見ているだけで楽しくなる、嬉しくなる本。

3冊だし、区切りかな、どうだろうと読んでいったら最後の最後に「おべんとうの旅は、これからも続きます。」と書いてあって、こころのなかで思わず小さくガッツポーズをした。

※本書にはレシピは載っていません。

2015/05/02

海の鳥・空の魚

海の鳥・空の魚 角川文庫
KADOKAWA / 角川書店 (2012-10-01)
売り上げランキング: 12,416
kindle版
■鷺沢萠
これは2月1日にkindleで購入して最初の2,3篇だけ読んで「なんか気分が乗らない(こういうタイプの話読みたい時期じゃない)」と思って数ヶ月放置してあった。昨日、久しぶりに読むものが無いのでふとこれの続きを読んでみたら今回はスルスルッと読めて、ほとんど昨日で読み、今日残り2篇を読んで読了。

短編より短い掌編小説を集めた作品集。
1990年1月に角川書店から単行本刊、1992年11月角川文庫の電子書籍版だ。
1990年というと平成2年で、ウィキペディアの鷺沢萠のページを見るに映画監督の利重剛と結婚したり上智大学外国語学部ロシア語学科を除籍になったりした年のようだ。ちなみにこのひとの作家デビューは1987年。自殺してしまうのは2004年…。

20篇の作品は男女、いろんな立場のひとの人生の一シーン・ヒトコマが切り取られて描かれている。状況や設定が「一昔前だなあ」という感じである、テレフォンカードが出てくるとかそういう事象だけではなしに、人々の意識・認識とかが。良いなと思うもの、よくわからないもの、ええっこれで終わりというものもあればまあこんなもんかなというものもある。いろいろだ。短いのに始まりと終わりで印象が変わった作品もいくつかあった。短いゆえの踏込の甘さに首を傾げたものもあったがこの長さにドラマを持たせる腕は器用だなあと思う。これだけあると多分読み手(の状態)によって好き好き、評価が分かれるようにも思う。いまのわたしの好き嫌いで印を付けてみる。

グレイの層 △
指 ?
明るい雨空 △
東京のフラニー ?
涼風 ◎
クレバス ×
ほおずきの花束 ○
金曜日のトマトスープ △
天高く △
秋の空 △
月の砂漠 ×
ポケットの中 ○
アミュレット ○
あたたかい硬貨 ○
カミン・サイト △
柿の木坂の雨傘 ◎
普通のふたり △
星降る夜に ×
横顔 ○
卒業 ○
海の鳥・空の魚(あとがきにかえて)